我が家には小さい花壇がある。
本当に小さい。庭の設計をするときに、私は別になくてもいいと思っていたが、夫がせっかくならガーデニングをしてみたいというので「まあ、じゃあ、小さめに……」と言って作ってもらった小さな花壇である。
結論としては作ってよかったと思う。なんなら、もっと大きくすればよかったと思っている。私のほうがよほどエンジョイしている。長年の狭いマンション暮らしで完全に忘れていたが、私はもともとガーデニングが好きであった。(同じく設備の整わない暮らしのなかで忘れていたものに「お菓子作り」がある。)
いまのところの花壇の変遷を記録しておきます。
まじめに読まなくてもいいです。
石ころ
花壇を作ってくれとは言ったが、いい土を入れといてくれとは言っていない。新居には小さなレンガ造りの素敵な花壇がくっついていたが、その中の土は完全に「とりあえず入れた土」であった。これはあれだろ、この土地の、あの、地盤の土だろ。
少し掘ると石ころが無限に出た。たぶん前の家の瓦とかも出た。粘土も出た。虫は一匹も出なかった。そういう土である。
百均で買ったスコップと熊手で掘り返し、石ころを拾い、半分くらい土を捨て、買ってきた土と肥料を入れた。どうぶつの森のキャラクターになったかと錯覚するくらい、しゃがんでせっせと石ころを拾った。
いま思えば、もっと最初から本格的に土を総入れ替えすべきだった。植物を植えてから土の手入れをするのは難しい。見切り発車すぎた。反省。
チューリップ
植えた時期:12月頃。遅かったみたい。
そろそろなにか植えてみたいなと思っているころ、職場で「チューリップの球根要らない?」という平和なお誘いを受け、ガーデニングを楽しむパートさんたちに交じって「五個ください!」といって貰ってきた球根を植えた。
「新居に花壇を作ったのでなにか植えてみたくて!」「あら~素敵!いいわね!」「こういうのっていつ頃植えればいいんですか?」「急がないと、チューリップを植えるにはもう結構遅いみたいよ」「えっ(絶望)」から始まった私のガーデニングライフ。
植えた日は曇っており、風が強く、死ぬほど寒かった記憶がある。私は「こんな寒い日に植えられて、私だったらいじけて咲かないと思う」とツイートした覚えがある。
チューリップの球根は土の中で冬を越し、春に芽を出す。
私は数カ月の間、なにもない土に水をやり続けた。もしかして芽を出さないかもしれないと思いつつ、とりあえず毎朝水をやった。まじめ。
2月くらいにやっと小さな芽が出て、そのまますくすく成長し、3月下旬に最初の花が開いた。はじめて育てた花はとても可愛くて嬉しかった。五つぜんぶ開いたのは私が入院中のことで、夫が写真を送ってくれ、私は病院のベッドで「くっそー!!!」と言った。あとでみんなに訊いたらやはり貰った時期が遅いこともあり、咲かなかったおうちもあるらしいので、すべて開花したうちはかなりラッキーだったと言える。
なお、このチューリップの球根は「赤」「白」「黄色」の三色があり、貰うときにどれを何個とリクエストしていたのだが、私がバカすぎてぜんぶ同じ袋に入れて持って帰ってきたためどれがどれだかわからなくなり、まさかのチューリップ色当て開花ダービーが開催されることとなった。ノッてくれたみんなサンキュー。大好き。
バラ
植えた時期:2月中旬。少し遅めだったみたい。
「マチネ」という薄紫の品種と、「スカーレット・ボニカ」という赤い品種。どちらも新築の記念に自治体から引換券をいただいて、好きな苗を選んで貰った思い出のバラ。
これまた寒い日に植え、育つかなあと一抹の不安を覚えながら水をやっていた。はじめてのバラ栽培は、虫や病気の予防、枝の剪定など、なかなか初心者には難しかった。
でもそこはバラという強い植物のすばらしさ。人気があるのもうなずける。最初は枯れ枝みたいな株だったが、いまでは美しい葉が生い茂っている。下手な手入れでもバリバリ育ち、一年目なのにモリモリ咲いてくれて本当にありがたい。一度咲いてしまえば花は強く、きれいで、部屋に飾ると一輪でも華やかでとてもいい。
私はバラの散り際が好きだな。美しさを誇るように咲き続けて、ある日突然はじけて花びらが崩れ落ちるのは、耽美だなあ~と思う(片付けは大変)。
植えた時期:2月中旬
バラの株を貰いに行ったとき、ついでに苗を買ってきて植えた。
青い花はかわいらしく、まだバラもチューリップも咲いていない花壇をにぎやかにしてくれてとてもよかった。しかし暖かくなってくるとみるみる伸びて広がり、いわゆる『徒長』してしまい、あまり長持ちはしなかった。もう少しこまめに剪定すればよかった。これも反省。
花とは関係ないけどこのころ花壇の周りにアリが出てすごかった記憶がある。少し掘り返すとコガネムシの幼虫(バラにつくらしい)もいた。心臓止まるくらいびっくりした。
虫一匹いなかった土がこんなに生態系を……と感慨深くはあったが、この地面いくらしたと思ってんだよと思ったら虫でも許せないので駆除した。
アレナリア・モンタナ
植えた時期:4月中旬
チューリップの花が終わり、花壇が寂しくなったので、白くて小さい花がほしいなと思って買いに行った。初夏にかけて小さい花が次々に咲いて見ごたえがあった。
植え替えを一度して、いまはバラの根元に植えている。花は終わったようだが、低く伸びる緑は芝生のようでこれもまたいい。我が家の庭は朝がとくに日当たりがよく暑いので、このままだと夏を乗り越えられなさそうでハラハラしている。
植えた時期:4月中旬
アレナリアモンタナと同時に買ってきたもの。はっきりと美しいビタミンカラーの花は花壇を華やかにしてくれてかなりいい。真夏でも毎日花が咲いており、葉は若々しい緑で景気がいい。
生命力が強いため、こぼれ種でメキメキ増えてしまい、いまでは植えてないところからも花が咲き始めている。あつ森みたいで愉快だ。
シロタエギク
植えた時期:4月中旬
アレナリアモンタナ、マリーゴールドと同時に買ってきて植えた。ぽってりした白っぽい葉がかわいらしく、冬の寄せ植えとかにいいかも……とぼんやり思っていたが、ものすごく強い。超大きく育った。ちょっとした木みたい。どうしよう。真夏でも元気。
個人的にはその成長ぶりを「いいぞ!」と思っているが、隣のマリーゴールドがやや迷惑そうにしている。
ミニひまわり
植えた時期:4月下旬
百均で買った種を植えてみた。本当にアニメのハム太郎の好物みたいな種。あまり期待しないように……と思っていたが、ちゃんと芽が出て7月中頃に花が咲いた。小さくてかわいい。
同時に買ってきた他の花は芽が出なかったので、さすがひまわりは強いなと思った。私があまり手入れをしていないからか、もともとそうなのかは不明だが、なんていうか葉っぱの色が微妙だなぁと思っている。
カブ&ハツカダイコン
植えた時期:5月下旬くらい(あいまい)
食べられるものも植えてみようということで、プランターでも育つという小さい根菜から挑戦してみた。どちらも芽が出るのは早かったが、植える時期が少し遅かったようで、実が育つのは時間がかかった。
あと信じられないくらい虫がつく。本当に信じられない。まあカブの葉っぱなんて人間が食べてもおいしいもんね。そりゃそうだよね。許さないけどね。
夫は虫が好きなのでよく葉の裏などをじっ……と観察しており、その様子はかわいいけどはやく捕まえてどっかにやってくれ~~と思っている。最近まで虫・両生類・爬虫類が好きって知らなかった。まだ知らないことはあるのだな。
7月にすべて収穫し、酢で和えて食べた。かなりおいしかったので、虫さえつかなければまた育ててもいいなと思った。
植えた時期:6月初旬。たぶん遅かった。
ホームセンターで見切り品みたいに半額で売っていたミニトマトの苗を、試しに買って植えてみたら信じられないくらい成長してしまい、いまでは私の身長(161cm)よりも高い。挿し木も追いつかないほど伸びた。元気でよろしい。虫も少し防虫剤をかけておいたら、心配していたほどつかなかった。
おととい初収穫し、マリネにして食べた。きれいな赤で、まんまるで、甘くておいしかった。100円くらいで買った苗からいっぱい収穫できてすごいなあ。とはいえ世話をする手間があるから、コスパだけ見るなら買ったほうが断然安いのである。家庭菜園ってそういうものじゃないから。たぶん。
大葉
植えた時期:5月下旬くらい
狭いマンションで生活リズムが終わっている暮らしをしていた際、唯一ベランダで育てたことがあったのが大葉だった。収穫が間に合わないほどよく育った覚えがある。
なので、これは適当に世話しても育つという自信があった。
しかし一軒家の庭はマンションのベランダよりも低いところにあるので、大葉につく数少ない虫がついてしまい(最悪すぎ)世話をするのがかなり大変だった。
あと収穫したものを食べてみたけどあまり風味がよくなかった。もう~!
オクラ
植えた時期:5月下旬
オクラはとにかく種が大きくてカワイイ。本当に、ビーズみたいにでっかい種をつまんで蒔くので、子どももきっと楽しいなと思った。
発芽もはっきりとわかりやすく、茎は強く、葉はでっかく、虫がつかない。最高。
花が咲いたら五日くらいで実を収穫できるのだが、一日に成長する速度が異常に速い。朝5センチだったけど夕方に見たら10センチなんてこともあります、って記事を読んで、嘘だと思っていたけど本当に伸びた。
昨日みそ汁にした。綺麗なみどりで、ちゃんとぬめりがあり、おいしかった。
おわり
植えたものの履歴はこれくらいかな。
あといま育つのを待っているものとしては、ケイトウとラベンダーがある。
どちらも花が咲くといいな~と思いつつ、毎朝あまりの日差しに気絶しそうになりながら水をやっている。