さざなみプロダクション

さざなみプロダクションの平社員による日記

見た目の年齢を考える

きのう久しぶりにテレビを見た。

私たちの家では録画以外でテレビ番組を視聴することがほとんどなく、夕飯時の娯楽としては主にテレビ画面でYouTubeかサブスク配信サービスを見ているのだが、久しぶりにリアルタイムで放送中のテレビ番組を見た。たまたまテレビをつけたら放送されていた、懐かしの名曲100選、みたいなやつ。80年代~00年代の人気歌手の映像が流れるやつ。同様の番組がよく放送されているところをみると、いまの「テレビを見ている」層にはぴったりハマる話題なのだろうな。そして我々は何故か80年代の歌が妙にめちゃくちゃ好きなので、流れているとまんまと見てしまうのである。

往年のスターたちを見て思うが、若い。見た目が若々しいという意味ではなくて、むしろ逆で、見た目はすっかり大人で堂々とスターとして活躍しているとき、まだ二十歳だったりする。

十六歳のアイドルがひとりで(当時のアイドルは大抵ひとりだ)、完璧にかわいい笑顔を次々に変化させながらにこやかに歌うところを見て「顔の完成が早いな……」と思った。私が十六歳のころなんて、まだ輪郭すらあいまいだったような気がする。

 

ところで、私の夫は童顔である。一緒に暮らして毎日見ているので少し判断が鈍っているが、それでもこんなに童顔の人は滅多に見たことがない。大学院生のときに構内を歩けば年下の学部生に新歓チラシを渡されたりしていた。今年で三十三歳になる彼は、身内の私がどう贔屓目に見ても見た目は二十四歳といったところ。いや、これは相当な贔屓目だ。部屋着でスーパーに行くと酒を売ってもらえなかったりするから、実際は十八歳なのかもしれない。ここが!というポイントはわからないが、髪のつや、頬の皮膚、あごの輪郭、骨格、そういったものすべてが若者である。羨ましいね。

 

さてテレビには「およげ!たいやきくん」を歌った子門真人さんが映り、貫禄たっぷりに歌う当時の彼が三十五歳だとテロップが表示され、我々は度肝を抜かれた。さ、さ、さ、三十五歳!?!?!?!あと二年でこうなれるか!?!??!?!?

夫は困惑しきった様子でぽつりと「男の人ってどこかのタイミングで『オッサンになろう』って決意してオッサンになるの?」と言った。知らん。きみはいつなるんだ。あと「俺はオッサンを通り越していきなりおじいちゃんになるかもしれない」とも言っていた。そうかもしれない。

 

いまだに私は、自分が老けて見えるかどうかもわからないでいる。近くにいる人間の尺度がぶっ壊れているので、判断基準がないのである。しかし自称「若く見える」とか自称「童顔」ほど痛々しいものもない。自分のことは厳しめに見ていきたい。あまり同い年の女性が近くにいない暮らしをしているので難しいが、いまのところおそらく『年相応』であるとは思う。メイクや着る服なども徐々に落ち着いてきている。

このまま私は順調に歳を取るだろう。夫は多分しばらくこのままだろう。そのうちオバさんと若者の夫婦みたいに思われるんだろうか。つらい。はやく平等に歳を取った老夫婦になりたい。